「ビジネスで一番大切なものは何ですか」とご質問をいただくことがあります。資金、人脈、アイデア。どれも大切です。それでも三つだけ選ぶとすれば、私は次のようにお答えします。
考え、行動する勇気。正しいことと間違ったことを見分ける知恵。失敗しても歩み続ける粘り強さ。
この三つは、本から学んだものではありません。日本で13年以上暮らし、働いてきた中で、夜勤の現場や不採用の経験、そしてグローバライズ創業期の苦しい日々から、身をもって学んだことです。
勇気――弁当工場の夜勤から始まった
日本語学校に入学して3か月後、私の初めてのアルバイトは弁当工場の夜勤でした。その後、野菜のカット・パッキング工場、飲食店、そしてヤマト運輸での配送の仕事を経験しました。
来日したばかりの外国人で、何も持っていなかった私が認めていただくための方法は、一つしかありませんでした。任された仕事は何でも引き受けること。日本人スタッフの方々が避けがちな仕事も含めて、です。
振り返ると、それも一つの勇気だったのだと思います。勇気とは、必ずしも大きな舞台での決断だけを指すものではありません。いちばん下から始める勇気。人が避ける仕事を引き受ける勇気。言葉ではなく、行動で自分を示す勇気です。
ビジネスも同じです。まだ誰もやっていないことを考え、確かなものが何もない段階で一歩を踏み出す。どれほど優れたアイデアも、行動する勇気がなければ、アイデアのままで終わってしまいます。
知恵――不採用の経験から学んだこと
私は多くの企業の面接を受け、何度も不採用となりました。最終的に、ある人材紹介・人材サービスの会社が、営業職として試用期間での採用をしてくださいました。
不採用の経験は、自分を正直に見つめ直す機会になりました。何が足りないのか、何を変えるべきなのか。そして人材業界での営業の仕事は、さらに大切なことを教えてくれました。この仕事での一つひとつの判断が、一人の人生と、一つの企業の未来に関わるということです。
私にとって知恵とは、多くを知っていることではなく、正しいことと間違ったことを見分けられることです。たとえ間違ったやり方のほうが簡単で、早く見えたとしてもです。そのための物差しは、とてもシンプルです。
人に話して恥ずかしくないことであれば、それはやるべきことである。
だからこそグローバライズは、透明性を何より大切にしています。外国人材の方々が正しく仕事を見つけ、適正な手続きで在留資格を変更できるように。そして日本の企業様が、誠実なかたちで人手不足の課題を解決できるように。正しい道は少し遠回りに見えることもありますが、胸を張って語れる道です。
粘り強さ――グローバライズ創業期の日々
グローバライズを立ち上げた当初、お客様は一社もありませんでした。若い外国人である私を信頼してくださる方は、ほとんどいらっしゃいませんでした。何人もの方にお会いしても、成果のないまま帰る日もありました。
それでも、私は続けました。疲れなかったわけではありません。失敗は終着点ではなく、通過点にすぎないと信じていたからです。断られるたびに少し学び、続ける日々の中で少しずつ信頼が積み重なっていきました。
経営5年以上、2,500社以上のパートナー企業様、7,000名以上の求職者の方々へのご支援。こうした歩みは、一夜にして生まれたものではありません。諦めないと選び続けた、数えきれないほどの普通の一日の積み重ねです。
三つは、いつも一緒に
この三つは、切り離すことができないと考えています。知恵のない勇気は無謀になりやすく、勇気のない知恵はためらいになりやすい。そして粘り強さがなければ、どちらも途中で止まってしまいます。
勇気は始めるために。知恵は正しい方向へ進むために。粘り強さは最後までやり遂げるために。
もし今、スタートラインに立っていらっしゃるなら――それが夜勤の現場であっても、不採用の通知であっても、まだお客様のいない会社であっても――どうか諦めないでください。私も、まさにその場所に立っていました。
勇気を持って最初の一歩を踏み出し、知恵を持って正しい道を選び、粘り強く毎日歩み続ける。どんな道のりも、小さな一歩から始まります。皆さまのこれからの歩みを、心から応援しております。